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内藤景代 記 |
2002年9月9日(月) 「陽の日」が重なる日、五節句。きょうは重陽、菊の節句 |
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●なぜ、9月9日が、「重陽」とよばれるのか? ●むかし、中国の「陰陽の哲学」では、 「1、3、5、7、9の、奇数は、陽の数」とされ、 「2、4、6、8の偶数は、陰の数 ●五経(ごきょう)のひとつ 『易経(えききょう)=変化の書 =I Cing. The Book of Change 』 の考え方を基本にした「陰陽の発想」 |
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きょう、9月9日は、重陽(ちょうよう)。 「菊の節句(きくのせっく)」です。 ●菊の花です。 ●なぜ、9月9日が、「重陽」とよばれるのか? なぜ、その日が、「菊の節句」なのか? ――すこし、以下のように、調べて、考えてみました。 幼いときに、「菊人形(きくにんぎょう)」を、見た記憶があり、 なつかしくなりましたので ……菊の香りが強烈で、今でも、その香りを思い出すほどです。 ※後記:「菊の節句」の菊の写真はこちらへ。 ●摘んだばかりのような、生(なま)の黄色い菊花で、 振り袖姿や袴姿(はかますがた)の全身を飾られ、 顔だけ日本人形の美女と美男の、 大人の人間大の「生き人形(いきにんぎょう)」たち。 幼い子どもには、見上げる大きさで、 すこしこわいです。 ――そういう、首だけが人間のような大きな「菊人形」たちが、 よしず張りの小屋の中にたくさん、立っていて、 歌舞伎の名場面(めいばめん)を演じていました。 横溝正史(よこみぞせいし)さんの探偵小説では、 その菊人形の首が、本物だったりして、 オドロオドロのこわい事件がおこるのですが… ※後記:「菊人形」の写真をのせたポスタ−は、こちらへ。 なぜ、9月9日が、「重陽」とよばれるのか? むかし、中国の「陰陽の哲学」では、 「1、3、5、7、9の、奇数は、陽の数」とされ、 「2、4、6、8の偶数は、陰の数」とされていました。 そういえば、「易(えき)」では、 陽は「―」という「一本の線=奇数」であらわされ、 陰は「中間が空」で、あいている「−−」 という「二本の線=偶数」であらわします。 ● 奇数 = 一、三、五、七、九 = 陽の数 = 陽 = = ● 偶数 = 二、四、六、八 = 陰の数 = 陰 = = ● + ● = 以上のような、中国の五経(ごきょう)のひとつ 『易経(えききょう) =変化の書= =I Cing. The Book of Change 』 の考え方を基本にした「陰陽の発想」が、 ――【9月9日が、「重陽」とよばれる】ことの 「共通認識」というか 「世界観」(世界を見る見方)や宇宙観として、あります。 さて、それで、 「一、三、五、七、九 = 陽の数」の中で、 「九(=9)」が、 一番、数が多い「最大の数」なので、 「陽のチカラが、強い」 と、発想します。 そして、一年の中で、 「九」が、 ふたつ並ぶ日である、 九月九日は、 強い「陽」が重なる …すなわち「重陽の日」ということで、 「五節句の最後」として、 中国では、古代から祝う習慣があり、 それが日本にも流入したわけです。 ――こう見てきて、気がついたのですが …五節句は、 「一、三、五、七、九 = 陽の数」の月に、 同じ「陽の日」が重なる日として、 祝われる 「一年の節目の日」ですね。 ……いいかえると、 陽の奇数の「月」と「日」が重なる日が、 一年に五回あり、それが五節句 ……と、いえるかもしれません。 以下に、五節句を並べます。
●なぜ、その日が、「菊の節句」なのか? ――むかし、中国では重陽の節句の日に、 「菊の強い香り」で「邪気」をはらい、 健康で長命になるように…願い、 菊の花びらを酒にひたした「菊酒」を飲み、 詩歌管弦(しいかかんげん)で、遊んだりしたそうです。 →その行事が、 日本には、平安時代に伝わり、 宮廷の儀式の「菊花の宴=重陽の宴」となった と伝えられています。 ●そして、庶民も、菊の花の変わり種をたくさん作って競い、 いろいろな形で、「菊の節句」を祝い、 江戸時代に、菊人形もできたそうです。 松の枝のようにのびている1cmの小菊の群とか、 花火が開いたような30cmの大輪のしだれ菊とか、 菊の変種はすごいですね。白、黄色、藤色、ピンクと色とりどり。 江戸時代の菊ブ−ムは、すごくて、 外国にも輸出されたそうです。 あまりの菊への熱狂に、江戸時代は、 変種の菊栽培の禁止令もでたという記録もあります。 菊は、皇室の紋章(エンブレム)ですし… → 江戸時代には、江戸幕府が、 この「重陽の節句」を、 「武家の祝日」として重要視したので、 「公的な性質」を備えたものになった…といいます。 武家=武士=戦士=強者 =勝負(しょうぶ=尚武) =陽 = = 重陽の節句 = 陽 + 陽 = = 強く、めでたい日。 ●上田秋成の『雨月物語(うげつものがたり)』 という短編小説集には、 「菊花の契り」という、 命がけの「男の友情」の物語もあります。 「菊の節句」の日に、 また、菊をひたして酒をくみかわそうと約束した、 2人の武士がいて、 ひとりが事情があって、 その約束を果たせなくなった …それで ……という、ちょっとこわいお話です。 ●きょうも、雨がふっています。 食用の「菊の花」が、八百屋さんで、¥100でした。 今夜は、菊をひたした「菊酒」で、いっぱいやりましょう。 菊の花は、目にもいいので、 パソコン疲れの目には、効果的です。 ※追記 重陽の節句、菊の節句の写真とお話は、こちらへ。 【2003年9月9日(火) 重陽の節句、菊の節句。 紫式部も感激した「平安風のアロマテラピ−」の菊被綿、大宮八幡宮。 香りを楽しむ菊と、「食用菊」。 キク(菊)の花は、皇室の紋章で、同時に日本の象徴(シンボル)になる花。 パスポー ト、世界中の日本大使館、国会議員バッジも、金色の「キク(菊)の紋章」。 明治神宮の森】 ※追記
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