2002年9月15日(日) 紫式部も感激した、菊の節句の「菊被綿(きくかぶせわた)」は、 平安版の「アロマテラピ−」という「芳香療法」 |
きょうは、「敬老の日」で、明日はその「振り替え休日」です。 もちろん、「きょうだけ、ご老人を敬えばいい日」 という「免罪符(めんざいふ)」的な休日…では、ありません……。 ●「敬老の日」は、ご老人にプレゼントを贈る方が多い と思いますが、「菊の花」を贈るときは、 注意をした方がいい…… というアドバイスを、花屋さんから聞きました。 ●――なぜかというと、 菊は、お葬式やお悔やみに、飾ることが多いので、 「縁起でもない」と気にするご老人も、多いので、 年配の方には避けたほうが無難だそうです。 ●……菊…白菊…葬式…死…不吉なイメ−ジ ……と連想ゲ−ムがはじまってしまう…… ●『冥想 マインド・トリップ』 148p 「連想を断つ」 にもかきましたが、 イメ−ジは連想的につながってでてくるので ――菊の花も、可哀想な気がしますが―― ご病人や年配の方への贈り物には、 菊の花は、パスした方がいいかもしれません… 「菊は、菊」なのですが ……「菊の節句」の時季ですし… ●9月9日の「菊の節句」の行事として、 平安時代から伝わる↑「菊被綿(きくかぶせわた)」を、 杉並区の大宮八幡宮(おおみやはちまんぐう)で 拝見してきました。↓ ●「菊被綿」は、上の写真のように、 「重陽(ちょうよう)の節句」の9月9日の前日の9月8日に、 菊の花を、赤・白・黄色の真綿(まわた)で、 おおって、「菊の香り」を、その真綿へ、まず、うつします。 そして、翌日の9日の朝に、 露(つゆ)に湿ったこの真綿を、顔にあてて、 「若さと健康」を保とうとする行事です。 ●古代の中国では、菊の花は、 仙境に咲いている花で、 「邪気をはらい、寿命をのばす効果がある」と、 信じられていたので、 この菊の香りと露で身をひたすことで、 「不老長寿」を願うようになったそうです。 それが、日本に平安時代に伝来しました。 ●平安版の「アロマテラピ−」という「芳香療法」といえるでしょう。 ●紫式部が、 藤原道長の北の方、源倫子から、 「菊被綿」を贈られて感激し、 次の歌をよんだと、 『紫式部日記』と『紫式部集』にあるそうです。 菊の露 若ゆばかりに 袖ふれて 花のあるじに 千代は ゆずらむ 紫式部 ↑●これが、その赤、白、黄色の「菊被綿」です。 白菊には黄色の真綿を、 黄色の菊には赤い真綿、 赤い菊には白い真綿をおおう習慣ができ、 またその上に、小さな真綿をのせるようになったといいます。 ●お葬式に菊を使うのも、 その香りで「魔や邪気をはらう」 という意味もあるのかもしれません… ●現代では、ご病人には、 香りの強い「菊の花」は、狭い病室に香りがこもるので、 避けた方がいいという説もあります。 …が、むかしは、 逆に元気になるように「菊のパワ−」をもらったわけです。 病院のように、密閉空間ではありませんし… ◎現代でも、 パソコンなどによる眼精疲労に 特 に、菊の花は、効果があるといわれています。 「ドライアイ」の方は、菊の花を飾って、 その香りを深呼吸するといいでしょう。 ●現代の中国では、 「菊の花は、目に効く(きく)」というので、 菊の花を中国茶に入れたり、 菊をビンの中にひたした精分を抽出した お酒(菊酒)を飲むそうです。 |