BIG ME club | 内藤景代が毎日更新する 日誌風エッセイ 最新情報 |
内藤景代 記 |
2002年7月24日(水) ●芥川龍之介、太宰治、「蒼白きインテリ」の系譜。……自殺。 ●河童忌(芥川龍之介)、桜桃忌(太宰治)。憂国忌(三島由紀夫)。 ●菜の花忌(司馬遼太郎) ●『遠野物語』(柳田国男)河童が実際にいた――とういう河童淵 ●芥川龍之介の河童「水虎晩帰之図」 ☆一度は共感してかかる「こころの伝染病」のように、どこか気になる存在、 芥川 |
今夜は、満月。 Full Moon ● ●昨夜は、雨あがりのおぼろ月で、もわぁ〜とオ−ラ(光)につつまれたように大きく輝いていましたが、今夜の月はどうでしょうか? ●きょうは、「河童(かっぱ)忌」。 生前、そのひとが好きだったものや、深く関係があるものを、そのひとがなくなった命日(めいにち)にちなんで、「○△忌(き)」と名づける風習があります。 ● ● サクランボ(桜桃=おうとう)が好きで、 『人間失格・桜桃』という本もある、太宰 治(だざいおさむ)の命日は、桜桃忌。 ●おうちの庭に咲く菜の花を好んでいたことや、 『菜の花の沖』で、明治の青春群像をかいた 司馬遼太郎の命日は、菜の花忌。 写真をみると、 今年の「菜の花忌」の式の壇上は、菜の花で埋めつくされていました。 ●そして、河童忌は、芥川龍之介。 ●芥川龍之介は、河童が好きで、 本の題名(『河童・或阿呆の一生』)にしたり、絵をかいたりしています。 ●河童は、水陸両生で、 背中に亀の甲羅(こうら)のようなものをせおい、 頭のてっぺんは、お皿のようになって水がたまり、 この頭頂の水が干上がると、死ぬ ――といわれる伝説の生きものです。 水虎(すいこ)ともいわれます (京極夏彦さんの本によれば、河童と水虎は、ちがうようですが)。 ●『遠野物語(とおのものがたり)』(柳田国男)にひかれて、 岩手県の遠野まで、暑い夏の盛りにいったことがありますが、河童が実際にいた――とういう河童淵(かっぱぶち)が、ありました。 透明な川の流れの中に水藻(みずも)がたくさん流れ、周囲は鬱蒼(うっそう)とした木立で、ひんやりした涼しい場所でした。夜、ひとりでは、こわいところです。闇夜の深い、むかしなら、なおさらでしょう… ●おかっぱ頭(河童のような髪型)の 長崎の丸山遊郭(まるやま ゆうかく)のかむろさんをみて、 芥川龍之介が酔ってかいた墨絵の銀屏風(びょうぶ)の 河童(=水虎)の絵は、迫力があります。 ●遊郭(いろまち。くるわ。遊女屋が集まっている地域)で、彼が遊んでかいた河童の絵も、今では、長崎市立博物館で、 おごそかに――芥川龍之介の河童「水虎晩帰之図」として飾られています。 ●芥川龍之介は、1927年7月24日の明け方、致死量の薬物 ――ヴェロナールとジャール――をのみ、 36才で、自殺。前日の最高気温は、36度で、 大暑の時季で、そうとうに暑かったようです。 ●芥川の親友の菊池 寛が、初代・社長の文芸春秋社。 そこで芥川を記念して出している新人文学者の登龍門(とうりゅうもん) とよばれるのが、ご存じの「芥川賞」です。 ※後記:詳しくは、文芸春秋社の社長だった菊池 寛が、作った財団法人の日本文芸振興会が、芥川賞と直木賞のふたつを主催しています。年2回、上半期と下半期。 今年の上半期の芥川賞は、7月11日に――1968年、長崎生まれの吉田修一さんの――公園での生活をかいという『パ−ク・ライフ』が受賞。 ●芥川龍之介は、「青白きインテリ」を心身であらわしているような文学者で、 わかくして自殺――という「夭折(ようせつ)の天才」 (『こんにちわ私のヨガ』 p 133 「若死をするひとの首は曲っている?」) の典型的なイメ−ジです。 ●それで、三島由紀夫――彼の自殺の命日は、『憂国(ゆうこく)忌』――をはじめ、自殺した太宰 治など、 文学少年・文学少女にとって、 一度は共感してかかる「こころの伝染病」のように、 芥川は、否定するにしても、どこか気になる存在なのです。 かくゆう、わたしも… ●澁澤龍彦さんの ――澁澤さんの親戚の澁澤栄一の関係の会社に、芥川の父がつとめていたという――芥川龍之介についての評価は、 7月14日のエッセイにかきました。上記の流れででてきた話でした。 ●三島由紀夫が、かいた「芥川龍之介について」と、 お祭りの神輿(みこし)をかついた話の関係は、『BIG ME』 p 109を。 ●満月のせいか、気が満ちて、筆が走り(キ−ボ−ドを猛スピ−ドで叩き?)、 きのうのお約束の旬(しゅん)の野菜から、かぎりなく離れてしまったようですが ……大丈夫(だいじょうぶ)……もどります(笑い)。 ●さて、伝説の河童の好きなものは、緑のキュウリ(胡瓜)といわれています。 上記のイラスト↑は、それをひねり、スイカ(西瓜)を食べています。 お寿司ののり巻きで、キュウリが入っているのを「カッパ巻き」というのは、 河童の好物からきた、見立てのしゃれです。 ●今、黄色い花を咲かせ、キュウリが都内のあちこちの軒先(のきさき)やベランダの菜園で、ぶら下がっています。 そして、沖縄産のゴ−ヤ(苦瓜=にがうり)まで、立派な実(み)をつけています。 その写真は、また、明日。 |
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