2003年6月2日(月) 田植えは、「前進」しない。みんなで呼吸を合わせ、「後退」してイネ(稲)を植える。 田植えと金剛ヤントラ。黒沢明の『七人の侍』のラスト・シ−ンは田植え | |
田植えの時季です。天皇が、田植えをなさったという記事が、5月末にありました。稲作の弥生式文化の大王(おおきみ)の象徴的な行事として、続いているのでしょう。昭和天皇の頃、皇居の中を車で走って拝見したことがあります。田んぼがあり、鬱蒼(うっそう)と武蔵野の森が広がり、白鷺(しらさぎ)がとんでいました。 ●都内でも、小さな空間(スペ−ス)に、田植えをしているところがあります。 新宿の西口、中央公園でも、田植えをした、という記事がありました。 幼い頃、田植えをすると、ヒルに血を吸われる……という恐ろしい話をきき、「田植えは、コワイ…」と刷りこまれてしまいました。 都内の水田(すいでん)には、ヒルはいないようですし、写真などをみると、ゴム長靴をはいて田植えをするようで、怖くなさそうです(笑) これなら、一度、イネ(稲)の束をもって、田植えの体験をしてみたいものです。 ●田植えのすんだイネ(稲)↑ ●「ヨコ一列づつ、きれいに並んだイネ」…と、長いあいだ思って、みていました。 ところが、自分で植える気になって話をきいてみると、「ヨコ一列づつ」に、ひとりのひとが植えるのでは、ないそうです。 ●田植えのメンバ−全員が、まず、ヨコ一列に並ぶ。 そして、一列目のイネの束(つか)を植えたら、全員が、「後ろ」へ下がる。 タテ方向に、下がり続ける…… それをくり返す。 田植えとは、「前進」はしない。「後退」するもの。 みんなで呼吸を合わせ、「後退」してイネ(稲)を植える作業……それが、田植え。 ヤントラ 金剛 ヤントラ 金剛 田んぼ 田植え ●だから、「田植え歌」などを歌い、呼吸を合わせ、息のあった動作で、植えていく… けれども、町育ちで、田植えを知らない、わたしは、長いあいだ誤解していました。 むかし、黒沢 明監督の『七人の侍(さむらい)』という映画のラストで、田植えの場面(シ−ン)がありました。女たちは、田植え笠をかぶり、笑顔で田植えをしている。 その時、腹につけた太鼓をたたいて歌う、楽し気な若い男がいました。 女たちに働かせて、いい若いもん(男)が、歌うだけ? イヤな奴(やつ)…… と思っていましたが、「呼吸法」としての「歌や太鼓」は、全員の息を合わせるには、不可欠の仕事だったのです。 ●さて、同じ人間が植えたイネ(稲)は、タテに並んでいたわけです。 上の「ヤントラ 金剛」の白色と、色をつけたものを並べると、「使用前→使用後」の田んぼのイメ−ジになります。 「田」という漢字は、象形文字です。「田」は、まさに、タテとヨコに区切られていたのでしょう。 「田」という漢字は、ヤントラのギリシャ・クロスに似ています。 ●ところによっては、田んぼに、タテに何本も、糸がはってあるところもあるそうです。 そのタテ糸(インドの言葉では、ス−トラ=経、ヨコ糸は、タントラ=緯)の中に、イネを植えていく。 これなら、ひと手(で)が少なくても、マイペ−スで、できるかもしれません。 ●とはいえ、農耕用の車にのり、キカイ(田植え機?)でイネを植えていくほうが、今は当たりまえのようです。 足が長く、腰高(こしだか)になった若いひとが多いこの頃では、田植えで、かがんで作業を続けたら、腰痛(ようつう)になるのではなかろうか? と愚考いたします。 ※→タテ糸(インドの言葉では、ス−トラ=経)と、ヨコ糸は、タントラ=緯: 『ヨガ・ス−トラ(経典)』、仏教の経典(ス−トラ)、タントラ(密教)の関係は: 『ヨガと冥想』を。 ※→タテとヨコの方向性のちがいについては: 『聖なるチカラと形・ヤントラ』を。 ※→腰痛に効く、ヨガのポ−ズは: 『家庭でできるビュ−ティ「ヨガ」レッスン』を。 |
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