2003年8月2日(土) ヤントラギリシャ・クロス」のような、「十字架メシベ」の黄色い花たち。太宰治のイメ−ジした「富士山に似合う、月見草(ツキミソウ)は、どれ?」 竹久夢二の『宵待草(ヨイマチグサ)』の花は? ヨイマチグサ(宵待草)とマツヨイグサ(待宵草)は同じ。オオマツヨイグサ(大待宵草)が月見草と、ふつうは、よばれる。メマツヨイグサなど、マツヨイグサ属の栄枯盛衰
まだ梅雨(つゆ)があけないうちに、8月になりましたが、きょう、梅雨明けです。
7月の夕暮れ、大きな黄色い花が、空き地の原っぱに咲いているのをみつけました。
ツキミソウ(月見草)……と思うけれど、ちがう」ということを思い出し、「十字架メシベ」という名で、写真をとりました。
 満月のように黄色い、大きな4枚の花びらの8cmほどの花。真ん中のメシベも、黄色い「ギリシャ・クロス」のように、タテとヨコの長さが同じ十字架(クロス)です。
 そして、今回、正確な名を調べてから、アップしようとしたら………ヨイマチグサ(宵待草)、マツヨイグサ(待宵草)、オオマツヨイグサ(大待宵草)、メマツヨイグサ、月見草(ツキミソウ)、アカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)などの似た花に出会い………またまた「ややこしや〜」の迷路にまよいこみ、今、帰還しました。
オオマツヨイグサ(大待宵草) 十字架メシベ








オオマツヨイグサ(大待宵草) 

←十字架メシベ











夕方に大きな黄色い花を開いている、「十字架メシベ」をもつ、この花は、「オオマツヨイグサ(大待宵草)」でした。
  そして、一般には、このオオマツヨイグサ(大待宵草)のことを「月見草(ツキミソウ)」と呼んでいます。

  オオマツヨイグサ(大待宵草)  ≒  月見草(ツキミソウ

だから、作家の太宰治が、

 「富士には 月見草が よく似合ふ」  (『富嶽百景(ふがくひゃっけい)』)

 とかいた「月見草」は、たぶん、このオオマツヨイグサ(大待宵草)だろう、といわれています。

ところが、富士山をあおぐ、富士五湖(ふじごこ)のひとつ、河口湖(かわぐちこ)のそば、月見草(ツキミソウ)とよばれて咲いているのは、黄色いオオマツヨイグサ(大待宵草)よりも小さい、黄色い花だった……というネットの報告もあります。
 オオマツヨイグサ(大待宵草)は、今、激減しているそうです。
 ……となると、「十字架メシベ」の花として、上記の写真のオオマツヨイグサ(大待宵草)に出会えたことは、幸運(ラッキ−!)かもしれません。

さて、話をもどすと、【黄色いオオマツヨイグサ(大待宵草)よりも小さい、黄色い花】には、マツヨイグサ(待宵草)があります。
 同じく4枚の花びらで、黄色い「十字架メシベ」、ただし花の大きさが 3cmくらい。
 月夜の頃に、月のほうを向いて、咲いていました。
 いかにも「月見草(ツキミソウ)」という名が、ぴったりだでした。
 去年、月夜(つきよ)に撮影した下の写真です。マツヨイグサ(待宵草)です。
 マツヨイグサ(待宵草)も、東京でふつうには、月見草(ツキミソウ)とよびます。
 
       マツヨイグサ(待宵草)   ≒  月見草(ツキミソウ

マツヨイグサ(待宵草)












 マツヨイグサ
 (待宵草)→



   十字架メシベ→



まとめてみると、同じ「十字架メシベ」で4弁でも、小さいマツヨイグサ(待宵草)と、大きいオオマツヨイグサ(大待宵草)は、一般に、ふたつとも月見草(ツキミソウ)とよばれています。
 けれども、ふたつとも外来種で、マツヨイグサ(待宵草)幕末(ばくまつ)に、オオマツヨイグサ(大待宵草)は明治の頃に渡来し、月見草(ツキミソウ)では、ない。
 和名の月見草(ツキミソウ)は、別にある。

   マツヨイグサ(待宵草) ≒ 月見草(ツキミソウ) 
                          ≒オオマツヨイグサ(大待宵草)

また、 オオマツヨイグサ(大待宵草)は、帰化したマツヨイグサ(待宵草)を追いやって広がりましたが、花が 2.5cmくらいの小さな「マツヨイグサ(め待宵草)」や「アレチマツヨグサ(荒れ地待宵草)」におされて、少なくなっているそうです。

……マツヨイグサ(待宵草)とひとくちにいっても、「アカバナ科マツヨイグサ属」の内部の栄枯盛衰(えいこせいすい)は、いろいろあるのですね。
 たんに、大−中−小のマツヨイグサ(待宵草)とか、ひとからげに月見草(ツキミソウ)とよんでいましたが、個々の生存競争は熾烈(しれつ)なようです。
 ………だから、同じ場所に、オオマツヨイグサ(大待宵草)や、マツヨイグサ(待宵草)、メマツヨイグサめ待宵草)が、同時に咲いていないので、よけいに比べにくく、わかりにくいのかもしれません。
 「3雄(両雄 りょうゆうの駄洒落)並び立たず」………ではありませんが。

ヨイマチグサ(宵待草)、マツヨイグサ(待宵草)
 ●さて、マツヨイグサ(待宵草)というよりは、「ヨイマチグサ(宵待草)」とよぶひとのほうが多いです。





  ←ヨイマチグサ(宵待草)、マツヨイグサ(待宵草)









それは、イラストレ−タ−で詩人、キャラクタ−・グッズの販売などをして、戦前の少女たちに絶大な人気のあった竹久夢二(たけひさゆめじ)の『宵待草(ヨイマチグサ)』の歌が、このマツヨイグサ(待宵草)をうたった歌だから、といわれています。
  
 ♪ 待てど くらせど 来(こ)ぬ ひとを 宵待草(ヨイマチグサ)の やるせなさ
      
       今宵(こよい)は  月も 出ぬそうな ♪

(よい)を待っていたように夕方に咲く花、マツヨイグサ(待宵草)は、「宵待草(ヨイマチグサ)」と、竹久夢二に「いいかえられ」て、叙情的なメロディ−とともにうたわれることで、ロマンティックなイメ−ジを増幅していったようです。
 竹久夢二が、マツヨイグサ(待宵草)を、「まちがえて」、宵待草(ヨイマチグサ)とよんだので、「まちがった名が広まり、困ったものだ」……という説もあるようです。
 けれども、「イメ−ジ喚起力(かんきりょく)」を考えると、宵待草(ヨイマチグサ)という「造語」というか「見立て」による名づけは、ひとのこころに染みるな〜と思います。

さてさて、では、和名の月見草(ツキミソウ)は、どんな花なのでしょうか?
 驚くことに、「黄色い花では、ない」ようなのです。その話は、また明日。


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