2003年8月30日(土) 「本物の花」と「ニセの花」が、大きな球体の「つぼみ(実は、葉)」から咲く、タマアジサイ(玉紫陽花)。ぼわぼわ〜と煙ってみえる、開花した青紫色の タマアジサイ(玉紫陽花)の「2本立て戦略」。高度な「フェイク」を駆使する、「生きものたちの、生き残り戦略」 | |
梅雨の頃に咲く、アジサイ(紫陽花)。8月に、高尾山で見た、アジサイ(紫陽花)は、「タマアジサイ(玉紫陽花)」でした。その時は、「ふつうのアジサイ(紫陽花)が、遅れて咲いているだけ……」と思っていました。ところが、そうではなく、水が流れている沢(さわ)や山に自生している、変わったアジサイ(紫陽花)でした。 それで、高尾山では、「知っている、いつものアジサイ(紫陽花)」のつもりだったので、わざわざ写真をとりませんでしたが、あとで調べると、その時、はじめて見るアジサイ(紫陽花)だったのです。 ●その後、都留(つる)の桂川の近くや、奥多摩湖にそそぐ川沿いで、青紫の小さな花や白い花の咲いているタマアジサイ(玉紫陽花)をみつけて、写真をとりました。下です。 タマアジサイ(玉紫陽花)は、ユキノシタ科で、アジサイ属。 はじめは、2〜3cmくらいの大きな白っぽい「丸いつぼみ」ができます。 このつぼみが球体なので、「玉(たま)」に見立てられて、タマアジサイ(玉紫陽花)と名づけられたようです。↓ ●タマアジサイ(玉紫陽花) ●この玉のような、つぼみから、花が咲く……わけですが、その花が変わっています。 「本物の花」と「ニセの花」が咲くのです。 「本物の花」とは、実(み)を結ぶ、「紫色の両性花」。 「本物の花」といっても、とても小さくて、紫のつぼみにみえます。 「ニセの花」は、白いアジサイ(紫陽花)そっくりです。 けれども、実(み)を結ばない「白い装飾花」。 タマアジサイ(玉紫陽花)の花は、2本立ての「作戦」なのです。 ●タマアジサイ→ (玉紫陽花) 紫色の両性花と、 白い装飾花→ 桂川 ●上のタマアジサイ(玉紫陽花)は、「玉のような、つぼみ」が開いたところです。↑ ところが、正確にいうと、このつぼみは、「総包(そうほう)」といって、「葉の変型(メタモルフォ−ゼ)」したものです。 4月26日にハナミズキ(花水木)の「花にみえる部分は、総包という葉」とお話しましたが、あれと同じです。 「玉のような、つぼみ」は、花を包んだ、包みで、茶色になって枯れます。 すると、【「本物の花」のつぼみ】が、中からあらわれます。 5mmほどの「青紫のつぼみ」です。 ●上の写真は、都留の桂川の近くで、写真をとりました。 ふつうに想像すると、5mmほどの「青紫のつぼみ」が開いて、「白い花」になる……と思います。ところが、ちがうのです。 上にかいたように、白いアジサイ(紫陽花)にそっくりな花は、「ニセの花」で、「実(み)を結ばない装飾花」。 ●「青紫のつぼみ」が開くと、下のようになります。↓ 下の写真は、奥多摩湖にそそぐ川沿いで、とりました。 いいかえると、「時をずらして、別のところで、同じ花」を見ないと、、タマアジサイ(玉紫陽花)の「めずらしい特徴」には、気づかなかったでしょう。 ●タマアジサイ(玉紫陽花)の「青紫のつぼみ」は、開花すると、花に比べて長い「青紫のオシベ」を、たくさん伸ばします。 遠くからみると、ぼわぼわ〜と煙(けむ)ってみえます。 近くで、よくみると、先端が丸い「青紫のブラシ」のようです。 その「開花した青紫色の両性花」のまわりを、「白いアジサイ(紫陽花)のような装飾花」が、囲んでいます。↓ ●タマアジサイ(玉紫陽花) 「開花した紫色の両性花」と白い装飾花↑ 奥多摩湖 ●この青紫色の小さな花は、3mmほどの丸い薄茶色の実になり、 白い花は、そのまま、ドライフラワ−のようになるそうです。 タマアジサイ(玉紫陽花)は、 ふつうのアジサイ(紫陽花)に、半分似ていて、半分ちがう、不思議な花です。 ●ここにも、ふつうの花のように咲いていて、実は、 「スゴイことを、さり気なくしている花」がありました。 「生きものたちの、生き残り戦略」には、 高度な「フェイク(だまし、いかさま)」も、たくさんあるようです。 7月22日にもかきましたが、 あのハンゲショウ(半夏生)の葉が花びらに、小さな花の集まりの花穂が、ハイビスカスや、 ムクゲ(木槿)やフヨウ(芙蓉)のメシベにみえるように。 |
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