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2003年10月10日(金) 寒露。●なぜ、後の月は、十五夜ではないのか? ●すこし欠けている「十三夜」に価値や美をみる、日本の風流な伝統。 ●永遠の未完成。それが道、タオ(TAO)。 ●ピンクのシュウカイドウ(秋海棠)の花は、ややこしや〜。 ●小さな満月を宿すオスの花(雄花)が、シュウカイドウ(秋海棠)の花と、思われている。 ●シュウカイドウ(秋海棠)のメスの花(雌花)は、枝垂れるピンクの三角錐 |
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きのうが、24節気の寒露(かんろ)。 今夜は、十五夜、満月。Full Moon. ![]() 寒露は、朝晩が冷えこみ、 朝の葉の上に結ぶ露(つゆ)もひんやりして、秋の深まりを感じる時季です。 先月の満月は、9月11日、仲秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)。 おとといは、おぼろ月のときも綺麗でしたが、 雲がきれて、すこし欠けた十三夜の「後の月(のちのつき)」をおがめました。 「なぜ、後の月は、今夜の十五夜ではないのですか?」 ときかれましたが、 「知的」な理屈ではなく、 「感性(センス)」であり、 その感性による「美学」でしょう。 ●「まん丸の正円」でなく、 すこし欠けている「十三夜」に価値や美をみるのが、 むかしからの風流な「日本の美学」です。 京都のお寺で、 建物もすこし「欠けている」ように、 どこか、「やり残し」のようなものを残しておく ・・・のが「日本の伝統」と、きいたことがあります。 「完璧(かんぺき)」ではなく、「可能性」が残っている。 永遠の未完成。 それが・・・道(みち)。 タオ(TAO) ●昨夜は、十四夜の月ですが、 新宿のネオンに負けずに、 ビルの上、天空で煌々(こうこう)と輝いていました。 「ほとんど十五夜みたい! 綺麗!」と、 研修生たちも歓声をあげていました。 ●その前の満月は、8月12日、そのまた前の満月は、7月14日。その前月の満月は、6月14日。その前の満月は、5月16日、そのまた前の満月は4月17日。 ●「心と体と、なんとなくの気分」は、どうでした? 数ヶ月、チェックしてみて、 ご自分の「心と体と気分」の傾向や 「リズム」のパタ−ン(形)がみえてきましたか? ……意外に、満月の前後は、 「調子が悪い」というかたも多いようです。 ●さて、小さな満月のような、 黄色い球体がピンクの花びらのあいだからゆれている、 不思議な花をはじめて見ました。 それだけでなく、「三角形のピンク色の花」も、 段々に長く垂れ下がっています。 はじめてみたのは、 高麗(こま)の古い茅葺き(かやぶき)屋根の高麗住宅の庭で、 次に、御獄(みたけ)の古い大木の下でした。 ●古びた家や古木(こぼく)に似合わない、 ピンクの今風(いまふう)の洋花(ようばな)なので、 より不思議で、帰宅後に調べました。 はじめは、花屋さんで調べ 「ベゴニア」の一種らしいとわかりました。 ベゴニアなら、よくある花です。 けれども、あの「ピンクの三角錐の下から黄色いシベが出ている花」は、 見たことがありません。 ●小さな満月を宿し開いているピンクの花、 ピンクのハ−ト型の花、 ピンクの三角錐先にピンクの丸い花(?)をつけた花、 ピンクの三角錐の下が開いて黄色いシベが見える花 …………と段々に下向きにつり下がっている花たち。 根をみると、ひとつの茎から、 丸やハ−ト、三角などの形の花(?)が同時に咲いている ……どれが、つぼみで、どれが花か、 よくわかりません。 ●よく調べてみると、このピンクの花は、 「シュウカイドウ(秋海棠)」という名で、 江戸時代の前期に中国から輸入され、栽培されているそうです。 だから、古い家や古木のそばに咲いていても 不思議はないわけです。 春に咲く、モモ(桃)やアンズ(杏)に似た ピンクのカイドウ(海棠)の花に対して、 「秋のカイドウ(海棠)」として、 「シュウカイドウ(秋海棠)」と名づけられたそうです。 ![]()
●さて、ふつうは、花の名がわかれば、それで、いいわけですが、 このシュウカイドウ(秋海棠)は、ややこしや〜の花なのです。 小さな満月を宿し開いているピンクの花も、 ピンクの三角錐の下が開いて黄色いシベが見える花も、 どちらも、シュウカイドウ(秋海棠)の花です。 けれども、オスの花(雄花)と メスの花(雌花)の2つがあります。 そして、オスの花(雄花)とメスの花(雌花)は、 同じ株から咲いています。 ●段々に、ちがう形の花がつり下がって咲いているのは、 オスの花(雄花)が上で先に咲き、 メスの花(雌花)が下で後から咲くからです。 高麗や、御獄では、 段々にオスの花(雄花)とメスの花(雌花)が咲いていましたが、 一般に、あまりメスの花(雌花)は咲かないそうです。 それで、オスの花(雄花)が、 シュウカイドウ(秋海棠)の花と、思われているようです。 下の写真です。 ![]()
●まろやかで、春のカイドウ(海棠)に似ているのは、 このピンクのオスの花(雄花)です。 ↑●上の写真 ●黄色い満月のような丸い部分は、「ヤク(葯)」。 ヤク(葯)とは、オシベの一部で、花粉をつくる器官。 ●シュウカイドウ(秋海棠)のメスの花(雌花)は、 枝垂れるピンクの三角錐。 その下に、円がついています。 その丸い円が開き、花びらのようになり、 黄色いつぶつぶが顔を出す。それがメシベ。 三角形と円(▲●)。 こちらのほうが、オスの花(雄花)っぽいので、 どちらがメスの花(雌花)か、 写真と文とつきあわせいろいろと調べて時間をとってしまいました・・・ ●シュウカイドウ(秋海棠)は、 昭和のはじめに決められた「新・秋の七草」に、いれられているとか。 ハ−ト型の葉は、シュウ酸をふくみ、薬用にも使われたといいます。 ●シュウカイドウ(秋海棠)は、 夏から秋の終わりまで咲き続け、 外で冬を越せる、唯一のベゴニア。 シュウカイドウ科ベゴニア属。 太陽のあたるところよりも、湿気のある、 やや日陰(ひかげ)のところで、自然によくふえる、 暑さや寒さに強い花です。 これからあちこちにふえていく花のような気がします。 ![]() |
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●シュウカイドウ(秋海棠) メスの花(雌花)↑ |
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