BIG ME club | 内藤景代が毎日更新する 日誌風エッセイ 最新情報 |
内藤景代 記 |
2002年8月7日(水) 東京にある、「ムササビの巣穴」 | |
奥多摩(おくたま)↓で、きのうの夕方、蛍(ほたる)を見ました。 ――その町で、おとといは、クマ(熊)が出て、「クマ危険注意報」が町中(まちじゅう)に放送されたそうです。 ●きのうは、午前中から「光化学(こうかがく)スモッグ注意報」が町に流れ、35,6度と、東京は今年一番の暑さになりました。 ――それで、午前中に仕事を手早く(てばやく)終えて、東京をはなれ、涼(りょう)をもとめて電車に乗って、奥多摩へでかけました。 ●ついた奥多摩も、土地の方が、今年一番の暑さとおっしゃるように、やはり暑かったですが、河原(かわら)におりると、渓流が流れ、もとめていた涼しさに出会えました。 ●ほ〜っと息を吐き、緑の木立(こだち)を見ながら、渓流のそばで呼吸法をゆっくりしました。熱気が体から出て、体中(からだじゅう)に、さわやかな冷気がしみこんできました。 ●河原の石→には、みずみずしいコケがはえ、シダなどのさまざまな夏草(なつくさ)が、石の割れ目から伸び、「盆栽のような小天地」をつくっていました。(『BIG ME』 213p 緑の魔術師たち}) こういうところでは、「石の上にも3年」ということわざがいきるのだろうな〜と思われました。 ●奥多摩では、野生動物を保護しているので、クマ(月の輪熊=つきのわぐま)も、よく出てくるそうです。 ――おととい、クマが出たので、山の中腹で一人暮らしの年配の女性は、農作業をやめて、ふもとにおりてきて、買い物とおしゃべりをする日にしたそうです。 ●町の肉屋さんには、イノシシ(猪)の絵をかいたポスタ−がはられ、「イノシシの肉あります」とかいてありました…。 奥多摩は、東京都ですが、別世界です…… ●土地の方は、モモンガとよぶそうですが――ムササビ(『BIG ME』 180p)が、いるという神社↓へ出かけました。 ●日没後、30分くらいすると、大きな3本杉のそばの、杉の木の上方の丸い巣穴(すあな)から、ムササビが顔を出す…と聞いて、懐中電灯を買いもとめ、←木の下にすわって待っていました。 ●――7時すぎに、見ている木の左の空間から、茶色の50pくらい(下から見ての大きさ)の縫いぐるみのような動物が、背中を丸めて、斜め下方に飛び去りました…… 「飛んだ! ムササビだ!」 おいかけていきましたが、河原の方へ飛んで行ったようで、姿を見失いました。 ←●この木の巣穴からは、いつ顔を出すのかな? とすわって待っていると、祭りの練習にいらした方が教えてくださいました。 「この木のムササビは、今年の冬の雪の日に、固くなって下に落ちていましたよ。餓死したのか…。今は、この木には、もういませんよ」 ●その方のうちに、モモンガ(土地の呼び方)が入りこみ、洗濯物の上でねているので、動物園にあずけたこともあるそうです。 今は、ペットだったアライグマを河原に捨てたひとがいて、凶暴だし、繁殖力も強く、土地の方は困っているそうです。 ●さて、露天風呂で汗を流し、また、ムササビに出会えるかもしれないと、あの神社に出かけました。 すると、お祭りの稽古(けいこ)で、たくさんの男性たちが集まり、ライト・アップされて、神社の社務所もひとがいっぱいでした。 これでは、ムササビはムリでしょう。 ●古い神社の境内(けいだい)には、笛と太鼓(ふえとたいこ)が、ゆったりした哀調をおびた、お神楽(おかぐら)のメロディを奏で(かなで)、茶パツにバミュ−ダ・パンツ、スニ−カ−などの今風のスタイルの3人組が、三つ巴(みつどもえ)のもようのついた古い小さな太鼓(鞨鼓=かっこ)を腹にくくりつけ、太鼓を静かにたたきながら、優雅に舞っていました。 ●素踊り(すおどり)なので、わかりませんが、ゆっくりした首のふり方などから想像すると、獅子頭(ししがしら)を頭につけて――越後獅子(えちごじし)や東北の鹿踊り(ししおどり)のように――本番は踊るらしいです。 懐かしい、ものかなしいメロディが、円環構造のように、くりかえされ、別の時間が流れていました…悠久のリズム……悠揚せまらぬ時の流れ〜 ●――多分、見てはいけない、練習中だったのでしょうが、ひとあし早い夏祭りの観客として、ゆっくりと、「伝統芸能の伝承の現場」を拝見しました。 壮年から青年へ、そして、少年へ――伝承される、リズム、動きのコツ。 ●――古き良きものの精神は、こうして口から口へ、手から手へ、「リレ−」して伝えられてきたのだなぁ〜と感じていると、夜空にピカリ! ピカリ! と光がゆったりしたメロディに共振するように舞っていました。 A「あ! 蛍!」 N「蛾(が)だよ。 蛾も蛍光色(けいこうしょく)で光るものがいるよ」 A「…… でも、やっぱり、ちがうみたい…」 N「……… もう、蛍の時季は、終わったはずなんだけど… …………あれは、蛍だ。 それにしても、でかいな〜」 ●2匹の大きな蛍が、お神楽の悠久のメロディに共鳴するように、夜の闇の中で飛んでいました。 養殖のはかない光をはなつ蛍の光しか、見たことのない、わたしには、自然の生き生きした強い蛍光(けいこう=ホタルの光!)をはなつ蛍を見るのは、はじめての体験でした。 とても、リッチ(豊か)な気分で、うれしい、ひとときでした。 |
←★前へ | 次へ★→ |