BIG ME club | 内藤景代が毎日更新する 日誌風エッセイ 最新情報 ![]() ![]() |
![]() 内藤景代 記 |
2002年年9月1日(日) ●江戸の名残のイニシエイション(イニシエーション 通過儀礼)の場で 「意味のある偶然=共時性(シンクロニシティ)」により、 探していた白い花をみつけた… なまくらな息子・娘や大人をも鍛え直す大山詣(おおやまもうで)・落語で有名●葛飾北斎 ろうべんの滝 |
(←●昨日の続きです☆↓☆) バスの窓から見えた「白い花」は、夕顔か…と、 いそいでおりたバスの停留所の名前は、 葛飾北斎(かつしかほくさい)がえがいた浮世絵(うきよえ)で、有名な 「ろうべんの滝(良弁のたき)」でした。 ![]() 左上に長方形のワクでかこまれ、 「相州(そうしゅう) 大山(おおやま) ろうべんの瀧(たき)」 という題がかいてあります。 北斎の「諸国瀧巡り(しょこくたきめぐり)」 のシリ−ズのひとつです。 ●相州というのは、 相模の国(さがみのくに)で、 今の神奈川県あたりです。 ●大山は、「丹沢(たんざわ) 大山(おおやま) 国定公園」に指定されている、風光明媚(ふうこうめいび)な山岳地帯です。 ●江戸時代から、大山は、 「大山様(おおやまさま)」と江戸の人に呼ばれ、 「生活に染みついた心と体の汚れ」を清める (六根清浄 ろっこんしょうじょう)の場として、 「講(こう)=団体」を組んで、 先達(せんだつ)の導師(どうし) =「先導師(せんどうし)」↓ に導かれて登る、お山でした。 ●ろうべんの滝は、 大山に登る人たちの「瀧行(たきぎょう)」の場として、有名です。 北斎の絵には、瀧行をする人、 終わってさっぱりと体をふく人などがえがかれています。 ![]() ↑●「秋期大祭」という 「聖なる時空間」を あらわす「結界(けっかい)」の縄とシデが、 下の鳥居から、 山の神社まで、絶えることなく、ズ−っと、はられています。 ●足弱(あしよわ)向きのなだらかな「女坂(おんなざか)」と 険(けわ)しい「男坂(おとこざか)」があり、 その上に「大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)」があります。 ●山岳信仰の修験道(しゅげんどう)のお山でもあり、 大山詣で(おおやまもうで)は、 一種の「イニシエーション(通過儀礼 イニシエイション)の場」 だったようです。 江戸や東京のひとにとって、 「なまくらな、わがまま息子や娘を、鍛え直す」場、 でもあったようです。 古典落語(らくご)に 「大山詣で」があります。 八五郎さんも、熊さんも登ったわけです。 ![]() ●↑講の名前がほってある、 江戸の町の火消し(ひけし)の纏(まとい)をほった石碑。 結界が、はられています。 ※→イニシエーション(通過儀礼 イニシエイション)については、 『わたし探し・精神世界入門』 内藤景代・著 ![]() 181p 「現代に生きる〈イニシエイションの秘儀〉」 『BIG ME』 内藤景代・著 ![]() 205p 「通過儀礼――イニシエイション」 ![]() ↑●大山詣での山へ登る「先導師(せんどうし)」 の経営する旅館。 たくさんあります。 そこでだしてくれる食事は、ほとんどが、 野菜中心の「精進(しょうじん)料理」で、 「湯豆腐」と 「きゃらぶき(蕗 ふきの煮物)」が名物です。 ●わたしも、幼い頃から 「大きくなったら、大山様へ連れて行ってあげる」と ――母が大山様へ 父の代参(だいさん)で 泊まりがけで出かけ、留守番をさせられる時に―― 母からよく言い聞かされていました。 わたしにとって、大山様へ登ることは、 「大きくなること=一人前になること」 を意味し、 憧れと同時に畏怖(いふ=恐さ)もありました。 ●「いつか…」と思っているうちに、 足弱なので、「ケ−ブルカ−ができたら…」といっているうちに、 小学生になり、大山詣でのために学校を休むわけにもいかず…、 行かれるようになると、母の方が足がおぼつかなくなる…… ――結局、母と大山様へ行ったことはありませんでした。 ●ここ十年くらい、数年に一度は、 小田急線で伊勢原まで行き、バスに乗りかえて、 大山詣でを家人とするようになりました。 急な、手すりもない、岩場の男坂を、 夕方、薄暗くなって、2人でおりたときに、 ニホンカモシカに出くわして、びっくりしたこともあります。 大きいし、こわかったです。 ●わたしにとって、大山詣では、以上のような「意味」があるので、 仕事が一段落した8月27日の暦を見ると、 「大山阿夫利(おおやまあふり)神社の秋期大祭」とかいてあるので、 大山様の祭りは、はじめての体験なので、 「ぜひ、行きたい」と祭りの初日に出かけたわけです。 父から、むかし 「祭りは、宵宮(よいみや)だ。 地味だが、本当の祭りがある。」 と聞いていたので、 「神がおりる」といわれる 宵宮(=よいまつり)に夕方、出かけました。 ……そこで、「意味のある偶然=共時性(シンクロニシティ)」で、 探していた「白い花」 ……夕顔と呼ばれる…夜顔に、出会ったのです。 ※→「意味のある偶然=共時性(シンクロニシティ)」=無関係な「物と心」が、偶然、共振(シンクロ)する出来事。心理学者のユングの概念。 ※→「意味のある偶然=共時性 → 『わたし探し・精神世界入門』 190p 脚注 ●「大きくなったら…」 という懐かしい声が聞こえ、 「大きくなって」 大山様の祭りに来て、 見たかった「白い花」に出会えて、 嬉しい…と、 胸の奥から思いました。 ●……今回のことは、 わたしにとって、とても「意味」を感じるので、 前置きがながくなりました。 お祭りの話は、また明日になります。こちらへ。 ご容赦(ようしゃ)を。 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・ 後記: ※→ディオニソス(バッカス)の信女が陶酔する姿の、ギリシャの壺絵は、 『聖なるチカラと形・ヤントラ』 ![]() 47p 図5 「固い意識が溶けていく」 後記:※→個人のためのイニシエイション(イニシエーション 通過儀礼 秘儀参入)と成人式などについては、こちらへ【2003年1月15日(水) 個人のためのイニシエイションのガイド・ブックと、女正月 「何のために? こんな試練が…」】 http://www.bigme.jp/000-000-03-01/03-01-15/03-01-15.htm 後記:※→●うちのキンモクセイ(金木犀 きんもくせい)の「死と再生」のお話は、こちらへ。【2002年10月4日(金) 「死と再生のイニシエイション」と植物神。キンモクセイ 『BIG ME』 『わたし探し・精神世界入門』「死と再生のイニシエイション(イニシエーション 通過儀礼)」と植物神 変容の物語 キンモクセイ(金木犀 きんもくせい) 紅白ミズヒキ(水引 みずひき) 赤白 花 ギリシャのディオニソス(ロ−マでは、バッカス)「死と再生」を祝う酒(ぶどう酒、ワイン)による、陶酔の神 闇の神 『聖なるチカラと形・ヤントラ』 ニ−チェの「3(三)様の変化」『ツァラトゥストラ』の変容の物語 植物神の「死と復活」と陶酔 ワグナ−のオペラ ニ−チェ『悲劇の誕生』「太陽神のアポロ」崇拝 】 http://www.bigme.jp/000-00-02-10/02-10-04/02-10-04.htm |
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