2003年7月23日(水) ●ゼニアオイ(銭葵)は、江戸時代からのアオイ(葵)科の花。 ★花などであらわすID(アイデンティティ)の伝統が、[家紋] =〔エンブレム〕。 ●徳川家の三つ葉葵は、ウマノスズクサ科の双葉葵、 別名・賀茂葵を3つ、正三角形のように並べた形。 ●その双葉葵は、葵祭りの京都賀茂神社の[神紋]。 ●タチアオイ(立葵)の[家紋]もある |
きょうは、大暑(たいしょ)。 暦の上では、「暑さは絶頂に達する」はずですが、 雨もぱらつき、寒い日です。 梅雨明けは、8月にもちこされそうという説もあり。 「夏だから」とこだわらずに、その日の陽気にあわせて、 食事やファッションなどをくふうして、体調を整えてください。 野菜たっぷりの熱々(あつあつ)のなべ物などが、 意外に、おいしい日です。 真夏に出かけた、フィリピンの避暑地、 高地のバギオが寒くて、 「名物のなべ物」を食べたことを思い出します。 オキアミの塩辛(しおから)が味付け用でした。 ●さて、今年の6月の真夏日のような陽射しのもとで、 咲いていたタチアオイ(立葵)は、 いかにも夏の風情(ふぜい)でした。↓ アオイ(葵)というのは、 「あうひ(仰日)」という言葉からきています。 葉が、太陽に向かって、どんどん伸び、 2メ−トル以上にもなるので、あうひ(仰日)。 ●今年の6月の真夏日(そんな日もありました)に、 涼をもとめ、綺麗な川の流れる 谷保 (やほ)に出かけました。その時、田んぼのそばで、 タチアオイ(立葵)に似ている花を見ました↓ 写真をいちおうとっておきましたが、 名前を知りません。 ところが、今回、半夏生(ハンゲショウ)の白い花と白い葉から、 フヨウ(芙蓉)、タチアオイ(立葵)、ハイビスカスなどの 「アオイ(葵)科の花」シリ−ズになってしまい、 調べているうちに、この花に出会いました。↓ ●ゼニアオイ(銭葵)↑ 6月初旬 ●高く伸びるタチアオイ(立葵)に似た葉と茎。 5弁のサクラ(桜)に似た形で、 白地に赤紫の筋がはいる、5cmほどの花は、 「ゼニアオイ(銭葵)」。 原産地は、南ヨ−ロッパや北アフリカで、 江戸時代に渡来し、日本で栽培されてきた、 古いアオイ(葵)の花が、ゼニアオイ(銭葵)。 アオイ(葵)科ゼニアオイ属。 花や実が、「江戸時代の貨幣、銭(ぜに)似ている」 というのが、ゼニアオイ(銭葵)という名の由来ですが、「?」です。 ●「江戸時代のアオイ(葵)」、 といえば、天下を統一した徳川家の御紋です。 この紋にするのに、徳川家は固執した……という説もあります。 ほかに使わせないことで、、 徳川家のID(アイデンティティ)を高め、権威を高める戦略です。 ←● 三つ葉葵(アオイ) ←●立葵 家紋 ●江戸幕府の将軍の徳川の家紋(かもん)は、 「三つ葉葵(アオイ) 」。 人気長寿テレビ時代劇の『水戸黄門』のラストに出てきて、 みながひれ伏す「葵のご紋」です。 「12才の少年の、4才児殺害事件」で、 この番組が好きな大臣が、 失言(本音?)をしていました。 ●さて、むかしから京都で毎年5月15日に 「葵祭り(あおいまつり)」があります。 この「葵」は、3ではなく2。 葵祭りの「葵」は、三つ葉葵ではなくて、 双葉葵(フタバアオイ)のことです。 双葉葵は、ウマノスズクサ科で、 別名を「カモアオイ(賀茂葵)」。 双葉葵は、京都賀茂(かも)神社の神紋です。 ●実は、徳川家の三つ葉葵は、 葵(アオイ)科ではありません。 ウマノスズクサ科の双葉葵、 別名賀茂葵を、3つ、 正三角形のように並べた形が、三つ葉葵です。 それで、将軍家の威光で、京都賀茂神社に、 双葉葵を使わせないようにしたことがあったそうです。 ところが、「こちらのほうが、葵を、古くから使っている」 と、拒否されたとか。 ●たかが、「花のマ−ク」。 されど家紋となると、 一族のID(アイデンティティ)がかかっているので、 江戸時代では、大変なことになったようです。 勝手に、三つ葉葵を使ったら、 江戸時代では、「お上(かみ)を恐れぬ所行(しょぎょう)」と、 首が飛びます(死刑)。 それは、「菊のご紋章(天皇家)」でも、 同じことでした。勝手に使ったら大変。 「菊の花弁の数」が問題だったようです。 ●今回、調べて、 タチアオイ(立葵)の家紋があるのを知りました。↑ 三つ葉葵ではありますが、 真ん中に葉が一枚で、左右対称に葉があり、 木のように立っている、タチアオイ(立葵)の家紋。 真夏の太陽の下で咲く、 あうひ(仰日)すなわちアオイ(葵)のイメ−ジにぴったりの形です。 今年の6月にアジサイ(紫陽花)といっしょにとった、 タチアオイ(立葵)を思い出します(下の写真)。 このタチアオイ(立葵)の家紋も、 江戸時代には、「使用不可」のマ−ク(形)だったのでしょうか。 ●タチアオイ(立葵) 下の花は、アジサイ(紫陽花) 6月中旬 ※→『水戸黄門』の「葵のご紋」の 印籠(いんろう)が象徴する「階層構造」については: 『聖なるチカラと形・ヤントラ』 p74 「なぜ、民主主義ができたのか?」 |
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